音楽で感動するとは? 

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音楽で感動し、自身の人生に良い影響を受けたという経験をお持ちの方が多いのではないでしょうか?
また、そういった楽曲を創りたいという動機で、楽曲創作の世界に足を踏み入れる方も少なからずいらっしゃると思います。

そこで、そのような想いをお持ちの方々の創作の参考になればと考え、心理学の学術論文などを参考に自身の経験も交えながら『音楽で感動するとは?』をひも解き、そして『聴き手が音楽で感動するために、創り手はどうすればよいのか?』について私なりの見解をお話ししたいと思います。

感動の効果

人に何らかの明確な変化を与えるのは、通常、強い情動(emotion)喚起を伴う出来事であると考えられています。1)

※情動:驚き、怒り、哀しみ、喜びといった感情で、急激で一時的なもの

情動には、ポジティブ事象とネガティブ事象があり、『感動』はポジティブ事象に属し、肯定的な効果が見込まれると言われています。1)

すなわち、『感動』というポジティブで強い情動を喚起されると、人は言動、行動、考え方等に良い変化をもたらし、場合によってはそれが人生の重要な転換点にも成り得る1)と学術的にも言われております。

感動喚起要因

心理学的な側面から『感動』について研究されている東洋大学社会心理学科教授(元広島大学教授)の戸梶先生の研究1)によれば、人は次のようなモノに触れた時に感動が喚起されるとのことです。

・意外性・驚き、発見、初体験、気付き等など予想外のことや新しいこと
・一生懸命で真剣な様(懸命さ・真剣さ、苦労、想いの強さ)
・精神的に弱っている時の情緒的支援

確かに、これらの内容が織り込まれた楽曲を聴くと、心を動かされることが多いという私自身の経験からも納得できる研究結果です。

よって、印象的な楽曲制作のためにの回でお話しした印象に残る楽曲制作のポイントをベースに、上述の内容を織り込むことで、聴き手が感動する楽曲になる可能性が高いのではないかと推察します。

音楽で感動するということ

同じ曲をいつ聴いても常に感動するかっていうとそうではないですよね。

例えば、失恋したときに失恋した心に寄り添うような内容の曲を聴くと感動しますが、そうではない時に同じ曲を聴いてもさほど心動かされなかったりしますよね。

聴き手の心理状態や置かれている状況により、同じ曲を聴いても感動することもあれば、しないこともあるというのは誰しもが経験することなのではないでしょうか?

すなわち、曲を聴いて感動するのは、その曲が感動の源なのではなく、その曲を聴くことにより聴き手の心の中にある出来事や想い出とリンクし、それが源となって共感共鳴して、感動に導かれていると考えるのが妥当であると考えます。

要するにその曲は、聴き手の内面にある感動のツボを押すキッカケでしかないということです。

この件に関しては、有名どころのソングライターの方々が同じようなことをお話ししているのを、メディアを通して何度か見聞きしたこともあります。

さらに、これは聴き手を感動させようと狙ったところで、当たるわけがないってことも意味してます。
だって、感動の源は聴き手の内面にあるモノですから、創り手には知りようがないモノです。

知りようがないモノを狙えるわけないじゃないですか・・・・

聴き手が感動するかどうかは、聴き手が決めることで、あくまでも結果でしかなく創り手がコントロールできるものではないということです。

さてさて、では創り手はどうすればいいんですかねえ・・・・?

ソングライターとしての心構え

まずは、他人を感動させようという想いを捨てることです。
そして、自身の内面をさらけ出すことだけに集中するのです。

人の心を揺り動かすための必要条件は、自身をさらけ出す勇気を持つことです。
アートプランニング①の回参照)

その時に、上述で記載した内容を参考に創作するとそういった曲に成り得るかもね、っていうぐらいの感覚で創作に臨むべきと考えます。

そもそも狙ったモノって、創り手の『感動しろ!』って言う押し付けがかなり高い確率で入るので、聴き手は感動するどころかシラけるだけだと思います。
想いはステージの上での回の経験談参照)

まとめ

人を感動させる曲を創りたいと思う気持ちはよくわかります。

が、それを狙うことは止めましょう。

かえってシラケさせる結果になると思います。

上述した感動喚起要因や印象的な楽曲制作のためにの回でお話しした印象に残る楽曲制作のポイントを参考にしつつ、自身の内面をさらけ出した曲、強いて言うなら自身が感動する、心動かされる曲を創ることに専念しましょう。

さすれば、あなたと同じ心持ちや感性を持っている人に出会えれば、その人には感動してもらえると思いますゆえ。

今後の楽曲創作のご参考になれば幸いです。

ということで今日はこの辺で。
最後までご覧いただきありがとうございました。

MASA

参考文献
1)戸梶亜紀彦、広島大学マネジメント研究、4号、27-37(2004)

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