ライブ活動を始めて間もない方々から、どうすればステージで緊張しないようになれますか?というご質問を時々受けます。
ライブに出演する前って、緊張しますよね。
それが初めてのことならなおさらかと思います。
緊張しすぎると、練習では全くミスすることがなかった部分でミスったり、ちゃんと頭に焼き付けてあるはずの歌詞やコード、曲構成が頭の中から吹っ飛んだりして、グダグダなステージになっちゃったりしますよね。
私もライブ活動を始めた頃にはこういったグダグダを何度か経験しました(^_^;)
そこで、ライブ時の緊張とどう付き合ってゆくかについて、学術的なお話しも絡めつつ、主に私自身がどうしているかをメインにお話ししようと思います。
今後のライブ活動の参考になれば幸いです。
緊張とパフォーマンスの相互関係
まず、緊張とパフォーマンスの相互関係を語る上で欠かせない、ヤーキーズ・ドットソンの法則について、簡単にご紹介します。
これは、アメリカ心理学会の会長を務めたこともある心理学者のロバート・ヤーキーズ博士とJ.D.ドットソン博士が、1908年に明らかにした
『適度な緊張感が最も高いパフォーマンスを発揮する。』
という法則で、生理心理学の基本法則と言われています。(図1参照)
つまり、あんまり緊張していないのもダメだし、過度の緊張もまたパフォーマンスを低下させるということを意味しています。
また、『どうでもいいや』と思っている時には、人は緊張しません。
一方、『物事に対して真摯に取り組み』、そして『良い結果を残したい』と考える時に、人は緊張するとも言われています。
ですので、ステージに真摯に向き合い、練習も積み重ねてきて、良いパフォーマンスをしたいと願ってステージに上がるとするなら、緊張するのが当たり前なのです。
緊張していないのは、むしろいい加減な気持ちで臨んでいる証であるとも言えるのではないでしょうか。
緊張との付き合い方
緊張しないのも、緊張しすぎるのも良くないわけで、どう適度な緊張状態に持ってゆくかが、ステージ上でのパフォーマンスを最大限に引き出すための重要な要素であることは、上述した通りです。
では、緊張状態を適度に持ってゆくにはどうしたらよいのでしょうか?
その回答というわけではないですが、私自身が数多くのライブ出演の経験を通して見い出した、緊張をコントロールする術についてのお話ししたいと思います。
なお、これらはあくまでも私の場合というお話しであって、万人に適用できる方法ではないと思います。ゆえに、ご自分に適した術を見い出すための参考として、ご覧いただければと思います。
①緊張するのは当たり前と認識する
まずは、緊張するのが当たり前であることを認識することです。
むしろ、緊張している=ステージに真摯に向き合い、頑張って練習してきた証だと考えましょう。
さすれば、緊張している自分をむやみに不安に思うことが抑えられ、過度の緊張を和らげることができるかと思います。
②緊張してもミスしないように、練習を積み重ねる。
ありきたりかもしれませんが、練習を積み重ねることです。
この時、漫然とやるのではなくて、本番のステージに立っている気持ちになって練習するのがポイントかと思います。
私の場合、練習する時は、目の前に観客席が広がり、観客がこちらを観ている状況を思い描きながら、なるべく本番と同じ緊張状態になるようにして練習することを心掛けています。
そのような練習を重ねれば、ミスは確実に減りますし、『これだけやったんだから、それでだめならしゃーない。』と開き直ることもでき、不安からくる過度の緊張を和らげることにつながります。
それに、ステージに真摯に向き合い練習もちゃんとやってきた人のステージは、ミスしようが、途中で止まろうが、ちゃんと伝わってくるモノがあるのですよ。
気持ちが入っていないためのミスなのか、過度の緊張がミスを引き起こしているのかって、客席には怖いぐらいわかってしまうのです。
これは、様々なアーティストのステージを数多く観てきて実感していることです。
ですので、私は
『ステージの良し悪しは、ステージに上がる前にほぼ決まる。』
と考えて、それまでの準備を怠らないようにしています。
③ミスが起こらないような対策を立てておく
ステージ上でミスが起こらないような対策を立てて、ミスする不安を払しょくしておくと、その不安からくる過度の緊張を和らげることにもつながります。
上述したような本番のステージに立っている気持ちになって練習するを繰り返すと、緊張した時にどういったミスを自分はしがちなのかがある程度あぶりだされます。
ですので、そうならないように先回りして対策をたてておくのです。
例えば、私の場合、ステージ上ではコード譜(歌詞の上にコードが書いてあるモノ)を譜面台等で見える位置に広げて演奏するようにしています。
基本的には全く見ないで演奏することができる位まで練習を積み重ねるのですが、ステージ上の高ぶった精神状態だと、歌詞やコードがフッと頭から飛んでしまう傾向が私の場合にはあるのです。
するとその不安から緊張度合が上がってしまうんですよね~(^_^;)
外見とは裏腹に、結構なチキン野郎なので・・・・( ´艸`)
ですので、歌詞やコードが飛んでも、いざとなったら演奏中でも確認できるコード譜を置いておくことによりその不安を払拭しています。
まあ、お守りみたいなものですかね。
さらに、そうすることによって、緊張を和らげるだけでなく、その不安がない分、心に余裕ができ、演奏に集中できるという効果も、私の場合にはあるのですよ。
余談ですが・・・・
『譜面を見ながらの演奏で、人の心を動かそうなんておこがましい』と、暗譜を強要する音楽指導者がまれにおられますが、正直ステレオタイプの考え方だなあと思っています。
経験的に、感動するしないと、譜面を見る見ないに相関はないと認識しています。
重要なのはそこではない!!!
④緊張のピークポイントをステージ前に持ってくる。
ずいぶん昔の話ですが、あるライブでの出来事です。
なじみのハコで、対バン(競演のアーティスト)に知り合いも多かったので、ついつい楽屋での雑談に花が咲いてしまい、かなりリラックスした状態でステージ前の時間を過ごしました。
そして、そのリラックス状態を引きずったままステージに上がったのですが・・・・・、
ステージに上がった瞬間に今までのリラックスが嘘のように、一気に緊張が押し寄せてきて、わけわかんなくなって、ぼろぼろになったという経験をしました。
そこで、そうならないためにどうすればいいかを試行錯誤した結果、私はステージに上がる前に緊張がMAXになるように自己暗示をかけるようにしました。
どうやら過度の緊張はあまり持続しないみたいで、ステージ前に緊張MAXにしておくと、だんだんその状態に疲れてしまい、ある種の開き直りの境地に達するようなのです。
なので、ステージ前にそのような状態を作っておくと、先ほどの失敗とは打って変わって、ステージに上がった瞬間、妙に落ち着きが出て、適度な緊張感の中でステージを務めることができるようになったのです。
まとめ
緊張しなくても、緊張しすぎてもパフォーマンスを低下させる(ヤーキーズ・ドットソンの法則:図1参照)ので、どう適度な緊張状態に持ってゆくかが、ステージ上でのパフォーマンスを最大限に引き出すための重要な要素である。
また、緊張は、ステージに真摯に向き合い、頑張って練習してきた証でもある。
適度な緊張感にするためにMASAが実践しているのは、以下。
おわりに
私のステージを観た方々からは、口々に『MASAさん、ステージ上でも全然緊張してないですよねえ。』って言われます。
いやいやいや、緊張はいつもしているんですよ~(^_^;)
ステージに真摯に向き合い、練習もちゃんと積み重ねてますからね・・・・。
ただ、それが適度になるようにコントロールする術を上述したように自分なりに見い出して実践しているだけなのです。
繰り返しになりますが、ここでお話しした方法は、あくまでも私のやり方であって、他の人に当てはまるとは限りません。
それはご自身で見い出すものだとご理解いただきたいと思います。
本ブログが、ステージでの緊張をコントロールする術を見い出す一助になれば幸いです。
ということで本日はこの辺で。
最後までご覧いただきありがとうございました。
MASA
コメント