ドミナント・モーション:マイナー・スケール編

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スケールとダイアトニック・コードの回の説明に則ってマイナー・スケールのダイアトニック・コードを作ってみると、ドミナント・モーションの回で説明したトライトーンが、四和音のドミナント・コード(Ⅴm7コード)に入っていないことに気付かれるかと思います。

となると・・・・、

マイナー・スケールの時はドミナント・モーションがないのでしょうか?

実はちょっと小細工(?)してドミナント・モーションを創ります。
今回はそのお話をします。

マイナー・スケールのドミナント・モーション

その小細工とは・・・・、

Vコードの3度音(スケールの7度音)を半音上げて、V7をドミナント・コードとして使用する

です。

例えば、Cマイナー(Cm)・スケール:C D Eb F G Ab Bbの場合
通常のダイアトニック・コードでのⅤコードは、Ⅴm7:G Bb D F⇒Gm7ですが、コードの3度音(Bb)を半音上げてⅤ7:G B D F⇒G7とし、それをドミナント・コードとして使用するのです。
そして、G7→Cmをドミナント・モーションとして使用します。

ポピュラー音楽の作曲家でもある大学の教官からも、Ⅴm7ではなくⅤ7を使うことがほとんどであるとの説明も受けております。

で、この時に注意が必要なのは、Vコード以外でもスケールの7度音を構成音に持つⅢとⅦのコードでは、7度音を半音上げずにそのままを使うということ。

例えば、Cマイナー(Cm)・スケール:C D Eb F G Ab Bbの場合
スケールの7度音:Bb
Ⅲ:Eb G Bb D ⇒ EbM7
V:G B D F ⇒ G7
Ⅶ:Bb D F Ab ⇒ Eb7

これは和声法の教科書(和声_理論と実習Ⅰ:いわゆる芸大和声の赤本)にも記載されておりますので、クラシック音楽の世界でも使われている方法と考えて良いと思います。

マイナー・スケール三種

一般的にマイナー・スケールと言われるものは以下の三種類があり、今まで説明してきたものは、そのうちの一つのナチュラル・マイナー・スケールでのお話です。

  • ナチュラル・マイナー・スケール
    :[全半全全半全全]の間隔で並んでいます。
    Ⅰ(全音上)Ⅱ(半音上)Ⅲ(全音上)Ⅳ(全音上)Ⅴ(半音上)Ⅵ(全音上)Ⅶ(全音上)Ⅰのオクターブ上
  • ハーモニック・マイナー・スケール
    :全半全全半1.5(増2度)半の間隔で並んでいます。
    Ⅰ(全音上)Ⅱ(半音上)Ⅲ(全音上)Ⅳ(全音上)Ⅴ(半音上)Ⅵ(全+半音上)Ⅶ(半音上)Ⅰのオクターブ上
    ナチュラル・マイナー・スケールには導音がないため、その7度音を半音上げて、導音としたものです。
  • メロディック・マイナー・スケール
    :全半全全全全半の間隔で並んでいます。
    Ⅰ(全音上)Ⅱ(半音上)Ⅲ(全音上)Ⅳ(全音上)Ⅴ(全音上)Ⅵ(全音上)Ⅶ(半音上)Ⅰのオクターブ上
    ハーモニック・マイナー・スケールの増2度音程(全+半音程)は、歌う時に音を取り難いので、歌いやすくかつ導音の利点を生かすため、6度音と7度音を共に半音上げたものです。
Ⅰ(主音)=Cの場合には
ナチュラル・マイナー・スケール:C D Eb F G Ab Bb C
ハーモニック・マイナー・スケール:C D Eb F G Ab B C
メロディック・マイナー・スケール:C D Eb F G A B C

ハーモニックおよびメロディック・マイナー・スケールの場合には、四和音ドミナント・コードにトライトーンが入るので、そちらのスケールを使えば、ダイアトニック・コードそのままで、ドミナント・モーションが使えます。

マイナー調の曲をどのスケールで創るかは、曲想により決まるかと思います。
ただ、ポピュラー音楽の場合には、ナチュラル・マイナー・スケールを使うことが多いのではなかと思っています。
イロイロとトライしてみてくださいませ。

ということで本日はこの辺で。
最後までご覧いただきありがとうございました。

MASA

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