コードトーン(コード構成音)のいずれかと同時に鳴らした時に、響きを濁してしまう音があります。
それをアボイドノート(avoid note)と呼びます。
アボイドノートは、長い音価や強拍でなければメロディにあるのはOKなのですが、縦のボイシングにあるときは響きを濁すのでNGとなります。
今回は、そのアボイドノートについてお話しします。
アボイドノートの定義
アボイドノートは以下の2種類になります。
①コードトーンとの間に短9度(全音6.5個分)音程を構成する音
ちなみにオクターブは関係ないので短2度(全音0.5個分)も同じアボイドノートとなります。
コードの種類によっては、スケール上の音でもアボイドノートになります。
なお、短9度(短2度)音程が許されるケースが2つあります。
- ドミナント7thコードのルート音と短9度(♭9)の音
理由:ルートの力が強く、かつドミナント7thコードには既にトライトーンが入っていて元々濁り気味なので、そこに短9度音程の濁りが入ってもあまり変わらないから。 - 長7度(M7)の音とルート音
理由:M7の短2度音程となるのがルート音で力が強いから。
例:Key=Cメジャーの場合
CM7コードトーン:C E G B⇒CはBの短2度音程ですが、Cはルートなのでアボイドノートとは言いません。
②コードトーンとの間に増4度(全音3個分)音程を構成する音
これは、増4度音程(トライトーン)があるとドミナントになってしまい、トニックやサブドミナントのコードの本来の機能が損なわれるからです。(ドミナント・モーションの回参照)
なお、増4度音程が許されるケースが2つあります。
- ドミナント7thコードの第3音と第7音
理由:ドミナント・モーションの推進力の根幹のひとつだから。(ドミナント・モーションの回参照) - ルート音と増4度(#11)の音
理由:ルートの力が強いから。
例:Key=Cメジャーの場合
Fコード・トーン:F A C
⇒スケール上のBはFと増4度音程(トライトーン)を成しますが、FがルートなのでBをアボイドノートとは言いません。
アボイドノートを縦のボイシングで使うことが、絶対にNGなわけではありません。
ジャズなどの世界ではあえてアボイドノートを使っているケースも多々あります。
それは、ドミナント・モーションのトライトーンの解決の様に、濁りのある不協和音から美しい協和音、不安定から安定への流れを使って心地よさを演出する音楽手法のひとつとして使われているのです。
もちろん、知らないでそうなっているのと、敢えてそれを使っているのとでは意味が全く違いますから、知識として持って置く必要があるとは思います。
本ブログが、楽曲制作のご参考になれば幸いです。
というわけで本日はこの辺で。
最後までご覧いただきありがとうございました。
MASA
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