演者として音楽に携わっている方の多くは、歌声や楽器で良い音、自分が出したいとイメージしている音をどうすれば出せるのか?について、常日頃考えておられるのではないかと思います。
そのためには、日々の鍛錬が必要なことは言うまでもないのですが、音を物理的な側面から理解することも、そこにたどり着くための指針を得ことに繋がると、ウン十年、工学系の研究開発畑で生き抜いてきたバリバリの理系人間であるMASAは考えております。
そこで、本日は物理的な側面からの『音』についてお話ししてみようと思います。
理系ではない方々でも理解しやすいようになるべく平易な説明を心掛けていますが、わかりにくかったらごめんなさい。
音の原理
音は空気振動という物理現象であり、その空気振動(気圧変化)が人の鼓膜に届き振動させることにより、音として認知されます。
振動は、物体の周りにある空気を押し出し、押し出された空気は圧縮されて空気の濃い部分ができます。すると、隣の空気をさらに押し出します。
このように順々に空気の濃い部分と薄い部分(空気の圧力変化)が発生し、それが波となって伝わって行きます(図1)。
この圧力変化の波を「音波」といい、音の密度を表したものを波の形で表したものが正弦波(図2)です。1)
図1 音の密度&図2 正弦波1)
音の大きさ(強さ)
音の大きさ(強さ)は、空気の圧力の変化量によって決まり、以下の図3に示したように圧力の大きさ(正弦波の振幅)が大きいほど、大きな音となります。1)
図3 音の大きさ(強さ)と振幅1)
音の高さ
音の高さは1秒間に空気が振動する回数(周波数)で決まり、以下の図4で示した通り回数が多ければ高い音、少なければ低い音となります1)
図4 音の高さと振動数1)
音色
同じ大きさや、同じ高さの音を聴いても、ピアノとバイオリンの音は明らかに異なりますよね。これは「倍音」の含まれ方が楽器によって変わるからです。
倍音とは、基音(基準の音)の整数倍の周波数を持つ音で、基音に倍音が重なることで「音色」が構成されます。
倍音が多くなると明るい音に、少ないと暗い音となって聞こえます。1)
倍音の具体例
基音のn倍の周波数を持つ倍音を、第n倍音と呼び、それを低い方から順に並べたものを倍音列と呼びます。基音をC(ド)にした時の倍音列は図5のようになります。
図5 基音をC2にした時の倍音列
音は倍音の集合体
『周期的な波は、周波数が整数倍の正弦波を足し合わせて作ることができる。』
これは、フランスの数学者・物理学者ジョゼフ・フーリエが提唱したフーリエの法則です。
すなわち、どんな音も基音とその倍音の組み合わせでできているということです。
倍音の重要性
音の大きさ(強さ)による迫力や音の高さの正確性は、音楽にとってはとても重要です。
一方、音の表情という意味では、音色が一番影響を与えることは、皆さんも肌で感じているかと思います。
すなわち、基音に倍音をどう組み合わせるかによって音色が決まり、それが聴き手の印象に多大な影響を与えることになります。
よって、倍音をコントロールすることは、表現の幅を広げることに繋がるわけです。
では、倍音をコントロールするためには具体的にどうすればよいのでしょうか?
(-ω-;)ウーム
かなり長く深~い話になってしまうと思いますので、それはまた別の機会にお話ししようと思います・・・・(;^_^A
少なくとも音楽にとって『倍音』がとても重要であることを念頭に、自身の歌唱や楽器の演奏を考え直してみると、また新たな表現にたどり着けるのではないかと思います。
今後の音楽活動のご参考になれば幸いで。
それでは今日はこの辺で。
最後までご覧いただきありがとうございました。
MASA
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