音楽高校や音楽大学卒の人のみならず、ピアノや吹奏楽などクラシック系の音楽をやっている方なら、ほぼ誰でも知っているソルフェージュという言葉。
一般的には全くと言ってよいほど知られていないのではないかと思います。
私自身も、長年音楽をやってきましたが、音大に入学を考え、調べ始めた時に初めて目にしました。そして、卒業するために最も労力を費やした科目が、このソルフェージュでもありました。
本日は、このソルフェージュについてお話ししようと思います。
私の様に、ソルフェージュで苦労されている方々のご参考になれば幸いです。
ソルフェージュとは
広義には、西洋音楽の学習における楽譜を読むことを中心とした基礎訓練のことを指します。
具体的には
②楽譜を素早く正確に読み取る能力(読譜)
の向上を目指した科目です。
そして、それらの能力は、一般的には次のような試験で測られます。
②8小節程度の旋律が書かれた初見の譜面を見て、それを歌う。(初見視唱)
音楽高校や音楽大学では入試科目にあることが多く、また入学してからも必修科目であることが多いです。
大阪芸術大学通信教育部音楽学科でも、ご多分に漏れず、このソルフェージュは必修科目になっており、上述した様な試験に合格しなければ単位が取れず、卒業できないシステムになっております。
大阪芸大通教のソルフェージュカリキュラム
大阪芸大通教のソルフェージュカリキュラムは、はっきり言って酷い!の一言です。
ソルフェージュって本来は、ちゃんと指導者に付いて面着レッスンにて1年ぐらい掛けて学ぶものだそうです。
だって、試験担当教官自身がそうおっしゃっていたぐらいですから・・・・(;^_^A
しかしながら、大阪芸大通教では、簡単なテキストと演習問題集&演習問題が収録されたCD(ちなみにCDは有料!!)が配られ、スクーリング(対面授業)すらなく、自宅学習のみで課題をいくつかこなし、そして試験を受けて合格することにより単位が授与されるという完全なほったらかし科目となっているのです。
ただ、入学生には、ピアノや吹奏楽などの経験者が多く、そういった方々は、読譜してそれを演奏することが求められますゆえ、入学前から否が応でもそういった訓練を積まれておられるのですよね。
中には、絶対音感を持たれている方もいたりして・・・・。
そういった方々にとってはさほど難易度の高い試験ではないようで、実際、私の学友たちの中には、ほぼ無勉強で試験を受けて合格されている方が結構な数いらっしゃいました。
(だから、ほったらかし科目にしていても問題が顕在化しないのであろう、と推測しています。)
でも、楽譜ありきの音楽をやっているわけではないゆえ、そういった訓練をまともに行ったことがなく、さらに結構な年齢の私にとっては、とてつもなく高い壁でした。
なにせ、理屈や論理展開で考えて答えを導き出す科目ではないので・・・・。
例えば、問題集の最初の方にこんな問題がありました。(なお、同じ問題は著作権問題に抵触する可能性があるので、それっぽいやつを自作してます。)
で、その譜面がこちら↓
譜面見ると、めっちゃ簡単な旋律ですよね(;^_^A
でも、初めてやったとき、音だけを聞いてこの譜面が書けなかったのですよ。
こんな簡単なものも聞き分けられんのか・・・・と愕然としたし、問題集の後半の方に行けば行くほど、どんどん複雑な譜面になっていて、
『こんなん一生できるようにならんわ・・・・(>_<)』
って途方に暮れました。
とは言え、四の五の言っていても合格できなきゃ卒業できないので、とにかく地道に頑張ってみました。
白状してしまうと、頑張るだけ頑張ってみてそれでもダメなら卒業はあきらめようとすら思ってました。
音楽制作能力や音楽的視野を広げる目的で、音大入学を決意したわけですが、その目的は、ほぼほぼ達成できてもいたので・・・・
ソルフェージュとの闘い:創世記
まずは、大学から与えられた演習問題集をとにかくひたすらやりました。
一応、ソルフェージュの基礎訓練のために作成されたとのことでしたので、その言葉を信じて、地道に続けてみました。
が・・・・
全くできるようにならない・・・・(;^_^A
そこで、このテキスト自体がすでに音感がある程度備わっている人向けであることに気付きました。
って、遅いわ!!!!
さすがにもうちょっと基本的な部分から立て直さないといけないと思い立ち、お得意のネットリサーチを掛け、そこから得られた情報に加えて、友人のピアノ教師(ソルフェージュ指導者でもある)にも手ほどきを受け、ソルフェージュ能力向上のポイントを明確化しました。
戦闘態勢見直し、そして勝利への道程
まず、ソルフェージュができない原因は、人により様々とのことでした。
苦手な人は本当に苦手らしく、歌唱や演奏が上手いこととソルフェージュができることは必ずしもイコールではないとのことでした。
そして、私の場合には、聴いた音程やリズムは、ほぼ正確に声に出して歌えるゆえ、音の認識には問題はなく(つまり音痴ではない。)、認識した音とその音名(ドなのかファなのか等)および長さ(4分音符なのか、8分音符なのか等)との紐付けが上手くできていないことが主因であるとのことでした。
そこで、次のようなトレーニング指針を立てました。
②音名を声に出して歌うのが、一番の近道。初見視唱の練習にもなる。
③見落とされがちだが、休符をきちんと聞き分けられているかどうかは重要。
④リズムパターンを覚えよう。
⑤とにかく最初にリズム(譜割)を把握すべし。音名はその後で良い。両方同時はよほど慣れた人じゃないと無理。
そしてこれらの指針を基にトレーニングメニューを組み立て、途中何度かバージョンアップを重ねながら、とにかくひたすら地道に愚直に来る日も来る日もトレーニングに勤しみました。
その結果、予想以上に時間と労力を費やしはしましたが、何とか合格を勝ち取り、卒業決定と相成りました。
ほぼほぼ毎日トレーニングを続けてみると、一生無理だと思ってたことが、だんだんとできるようになるものなのですね。
この年になっても、地道な努力を粛々と続ける重要性を再認識することにも繋がりました。
合格を勝ち取ったトレーニングメニュー
私の様にソルフェージュで苦しんでおられる方のご参考になればと思い、私が行った最終バージョンのトレーニングメニューをご紹介しておきます。
①ソルフェージュ学習界では定番の『コールユーブンゲン』の中のNo,18d(3度音程)、24d(4度音程)、30h(5度音程)、36f(6度音程)、42d(7度音程)を毎日声に出して歌い、ピアノで確認する。(指針①に対応)
②スマホアプリを使って初見視唱のトレーニング(指針②に対応)
『新曲視唱Pro』というAndroidアプリを使いました。
すべての機能を使うには、月額250円が必要となりますが、初見視唱のみならず、聴音に対しても効果があり、このアプリを使ったトレーニングが、結果として一番効果があったと感じています。
やっぱり、声を出すのが一番重要ってことですね。
③聴音トレーニング(指針③④⑤に対応)
大学配布の演習問題集を使っての聴音トレーニングおよびリズムパターン暗記。
繰り返しやっていると覚えちゃうので、ソルフェージュ学習界隈ではかなり有名な洗足学園大学監修のHP:洗足オンラインスクール(すべて無料!!)にあるオンライン聴音練習問題も交えながらトレーニングに勤しみました。
おわりに
大阪芸術大学通信教育部音楽学科を卒業するためには、『ソルフェージュ』と『和声法2』の2つの必修科目の試験に合格する必要があります。
(他の科目は、試験ではなく課題やレポートの評価結果で合否が決まります。それでも厳しい科目は厳しいですが・・・・。)
『和声法2』の試験に引っかかって苦労されている方が非常に多いので、あまり表立って聞こえてこないのですが、実は『ソルフェージュ』の試験も引っかかっている人がそれなりにおられ、それで卒業をあきらめる方も少数ながらもいらっしゃるそうです。(私も予備軍でしたが・・・・(;^_^A)
ゆえに、そういった訓練をしたことない方は、心して掛かった方が良いと思います。
『試験簡単だったから大丈夫!!』という全くもってアテにならない言葉を振りまく、お出来になる方(自称)に出くわすことがままありますが、その言葉を鵜呑みにして油断しないことが肝要かと思います。
皆さんのご健闘をお祈りしております。
かなり長くなりましたが、本日はこの辺で。
最後までお読みいただきありがとうございました。
MASA
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