裏コードとは?

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音楽理論を勉強すると『裏コード』という単語をこれまたたびたび耳にするようになると思います。
本日は、その『裏コード』についてお話ししたいと思います。

裏コードはⅤ7の代理コード

裏コードとは、Ⅴ7(ドミナントセブンス・コード)の代理コードとして利用できるコードで、♭Ⅱ7のことを指します。

なぜ、Ⅴ7の代理コードとして用いられるかと言うと・・・・

コード内のトライトーン(三全音:全音3個分)の関係にある音が同じであるため、その響きの不安定さが同じであるからです。

Cメジャー・スケールの場合
Ⅴ7=G7:G B D F ⇒ BとFがトライトーン
♭Ⅱ7=D♭7:D♭ F A♭ B ⇒ FとBがトライトーン

また、別な説明として・・・・

20世紀前半に活動した作曲家バルトークの音楽に見られる作曲技法:中心軸システムでは、ルートが増4度(全音3個分)の関係にあるものは、代理コードとして使えるという考え方があります。
Ⅴ7の増4度関係にあるのがちょうど♭Ⅱ7なので、その考え方に則ればⅤ7の代理コードとして使えることになります。

Cメジャー・スケールの場合
Ⅴ7=G7のルート:G⇒(増4度:全音3個分)⇒D♭
D♭ をルートとする7thコード:D♭7=♭Ⅱ7
なお、この中心軸システムはバルトーク自身がこの作曲技法を使ったと明言したわけではなく、ハンガリーの音楽学者レンドヴァイ・エルネ氏がバルトークの楽曲を解析研究した結果、この技法を使ったと主張している一説であることに注意してください。

ちなみに増4度(全音3個分)の関係は、5度圏のちょうど対極に位置する関係となります。
対極=裏にあるってことで、裏コードと呼ばれています。

Ⅴ7は、ドミナント・モーションの回でお話しした様に、楽曲を『支配』する最も重要なコードです。
しかしながら繰り返し多用すると、ありきたりな感じにもなってしまうので、そこにちょっとした新鮮味を加えるための変化球として、この裏コードは利用されます。

裏コードの使用例

ドミナント・モーションのⅤ7の代わりに♭Ⅱ7を使います。

Ⅴ7⇒Ⅰ  ♭Ⅱ7⇒Ⅰ

こうすると、ルートが半音進行となり、水が流れるような滑らかかつ穏やかなベースライン移動のドミナント・モーションとなります。

さら、ツー・ファイブからのドミナント・モーションのコード進行(Ⅱm7⇒Ⅴ7⇒Ⅰ)のⅤ7を♭Ⅱ7に入れ替えると、ルートの半音進行続きとなり、より滑らかなベースライン移動のコード進行となります。

Cメジャー・スケールの場合
Ⅱm7⇒Ⅴ7⇒Ⅰ:Dm7⇒G7⇒C
Ⅱm7⇒♭Ⅱ7⇒Ⅰ:Dm7⇒D♭7⇒C

Ⅴ7でぐっと盛り上がってからⅠに着地する感じから、♭Ⅱ7からふんわりとⅠに着地するソフトランディングな感じのコード進行に変わり、ジャズやR&B風のおしゃれ~な感じのサウンドになります。

コード進行の展開のひとつとしてお試しあれ。

ということで本日はこの辺で。
最後までご覧いただきありがとうございました。

MASA

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