『高い声が出る=歌が上手い』という呪縛

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~本当の歌の魅力はどこにあるのか?~

はじめに

ありがたいことに、私はこれまで様々な場所で歌わせていただく機会に恵まれてきました。

その度に、他の出演者のステージを間近で観ることができ、多くの刺激や学びと出会ってきたのですが、同時にどうしても拭いきれない違和感を覚える場面も度々ありました。

「高い声=上手い」という誤解

その違和感の正体――それは「自身の持つ音域よりも高い歌を歌おうとする人が少なくない」という現象です。

ライブハウスに限らず、カラオケや各種イベントでも耳にすることですが、多くの人が「高い声が出る=歌が上手い」という呪縛に囚われているように感じています。

確かに、高音域で響かせる歌声には圧倒的な説得力がありますし、聴衆の心を大きく揺さぶる力があることは否定できません。

高音が綺麗に伸びる瞬間、会場が一体となって盛り上がる、そんな魔法のような体験は私自身も聴く側として何度も経験してきました。

しかし、それはあくまで「きちんと響いた声で歌った場合」に限るのです。

無理な高音のリスクと違和感

問題なのは、「出したい音域」と「出せる音域」のギャップを無視して、喉を無理矢理締めてでも高い声を出そうとすることです。

無理な発声で何とか音域をクリアしたとしても、声は響かず、聴く側には心地よく響いてこない――むしろ、聴いている方としては「ノドを壊すんじゃないか」と心配になり、歌を聴くどころではなくなるのですよねえ。

このようなケースは、歌に自信を持っている方ほど多い印象があります。

Aメロや低音域のパートはイイ感じで歌われているのに、サビなど高音域になった途端に、聴いている私自身が思わず「(心の中で)ズッコケて」しまうことも。

けれど、歌い終えた本人はなぜか満足げな表情だったりして・・・・。

正直、もったいないなあと感じてしまうのです。

本来の魅力を発揮するために

低音域パートをちゃんと歌えるのだから、そもそも十分な歌唱力を持っておられると思うのです。

だからこそ、自分に合った音域をしっかり把握し、その中で最大限の魅力を発揮するという方向にちょっと思考を変えてみたらいかがかなあと思う次第であります。

それでも高音域を広めることに挑戦したいのであれば、プロの指導を受けて正しい発声法を身につけることをおすすめします。

一朝一夕では身に付きませんが、キチンとした指導を受ければ、今よりも楽に響く高音を出せるようになります。(経験者は語る。)

まあ、もちろん限界は人それぞれありますケド・・・・(^_^;)

「何のために歌うのか」という視点

歌を歌う目的は人それぞれです。

「高い声を出すこと自体がやりたい」とか「とにかく挑戦するのが楽しい」というのであれば、誰からも強制されるものではありませんし、自由に歌う権利は誰にでもあります。

趣味で歌う場合、周囲の感情や評価を気にせず、好きなように楽しむことも大切なのではないかと思います。

ただし、もし聴いてくれる人に何かを伝えたい、心を動かしてもらいたいという想いがあるのなら、自分の声がどう響いているのか、客観的な耳と心で見つめ直してみることも必要なのではないでしようか?

「呪縛」から解放されて本当の歌を

「高い声が出る=歌が上手い」という呪縛は、歌う人自身はもちろん、聴く側にも大きな影響を与える先入観です。

正直私も歌い始めた頃には、この呪縛に囚われていました。

しかしながら、多くの方の歌声を生で聴くことにより、その呪縛から解き放たれることが、歌うことの本当の楽しさや深さに気付けるということを悟ったのです。

自分の声と誠実に向き合い、自分だけの音楽を紡ぐ――それこそが本当の歌の魅力だと私は信じています。

世の中には、低音の響きで人の心を打つシンガーもいれば、力強い中音域で独自の世界観を表現するアーティストもいます。

どの音域であっても「自分らしい声」で歌うことが、結局は一番素敵なステージにつながるのではないでしょうか?

おわりに

「高い声を出せること」だけが歌の上手さの証ではないと常々感じています。

自分の音域を大切にし、時にはプロの手を借りて、より魅力的な歌声を磨いていく。

その先に、心に響く歌の世界が広がっていくのだと思います。

これからも、歌うことの喜びと向き合いながら、一人ひとりが自分だけの音楽を楽しめますように。

本ブログが、そのキッカケの一助になれば幸いです。

ということで今日はこの辺で。
最後までご覧いただきありがとうございました。

MASA

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