煌く灯りが街を飾る頃
疲れ切った体を引き摺り
笑顔溢れる人混みを縫って
流される様に家路を辿る
幸せ振りまき歩く恋人達
そして自分ひとりだけが
華やぐ街の風景の中から
浮き上がっているように思えた
誰が待つわけでもない
暗く冷め切った部屋に身を投げて
どうしようもなく湧き起こる想いに
心がつぶされそうになる
愛する人のない寂しさ
頼られる人のない空しさ
そして世の中に自分ひとりだけが
要らないように思えてくる
そんな時突然ベルが鳴り響く
お前から電話が来る
『よう、元気か?』『ぼちぼちかな。』
懐かしい声が心に響く
疲れた身体をベッドに投げ込み
とりとめもない話を紡ぐ
特に用事があるわけじゃないのに
どうして電話をくれたのだろう
今さらお前のくだらない話に
付き合っても仕方がないんだけど
窓から差し込む月明かり
いつもは悲しく照らすのに
なぜだか今夜は冷めた部屋を
やさしく温めているよ
慰められるわけでもなく
元気付けられるわけでもなく
ただバカ話に笑っていたけれど
なぜかふと涙がこぼれた
そして孤独に震えていた心が
ようやく笑顔になれたよ
孤独もそんなに悪くないかもね
さりげない優しさ感じられるから
些細な心遣いに気付けるから
そして心が優しくなれるから
『それじゃ、またな。』『それじゃまた。』
次の約束などすることもなく
電話を終えて僕はひとり
ぽつりとつぶやいた
『ありがとな』ってね
ポカポカする心を抱きしめて
Words, Music & Arranged by MASA
※2nd Album『僕らがいた夏』収録曲
音源ダウンロード:レコチョク(『僕らがいた夏』/MASA)
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